中島京子さんの『長いお別れ』を読みました。

いつも2〜3冊の本を並行して読んでいますが、眠る前に読書灯で読むのは、決まって今回のような、読みやすい小説ものです。

かつて中学の校長だった東昇平はある日、同窓会に辿り着けず、自宅に戻ってくる。認知症だと診断された彼は、迷い込んだ遊園地で出会った幼い姉妹の相手をしたり、入れ歯を次々と失くしたり。妻と3人の娘を予測不能なアクシデントに巻き込みながら、病気は少しずつ進行していく。あたたかくて切ない、家族の物語。中央公論文芸賞、日本医療小説大賞、W受賞作。引用元:Amazon

わたしも幼い頃、認知症の祖母と同じ屋根の下で過ごしていたり、祖母が病院に入ってからは、ピアノのレッスン帰りに祖母を見舞ったりした思い出があるので、その頃を思い出しながら読み進みました。

物語の後半で、認知症を患い他界した主人公を祖父に持つ男の子(孫)が、学校の校長先生と話すシーンがあります。



「祖父が死にました」

男の子は突然そう言った。グラント校長は話すのをやめて、静かにタカシを見つめた。

「いつ」

「おとといの朝でした」

「そうか。おいくつだったね」

「八十とか、そのくらい」

「そうか。僕の父といくらも違わない。どうか、心からのお悔やみを受け入れてほしい。ご病気だったの?苦しんだんだろうか」

「ずっと病気でした。ええと、いろんなことを忘れる病気で」

「認知症(デイメンシア)か」

「なに?」

「認知症とういうんだ。僕の祖母も最後はそうだった」

「十年前に、友達の集まりに行こうとして場所がわからなくなったのが最初だって、おばあちゃんはよく言ってます。」

「十年か。長いね。長いお別れ(ロンググッドバイ)だね」

「なに?」

「『長いお別れ』と呼ぶんだよ、その病気をね。少しずつ記憶を失くして、ゆっくゆっくり遠ざかって行くから」

以上、『長いお別れ』より



英語では、Dementia(認知症)をLong Good Bye(長いお別れ)というんですね。

素敵な表現ですね。

祖母のことを思い出して、ほろっとしました。

認知症や死を扱っていますが、重い感じはなく、家族の物語を楽しみながら読みすすめられます。
素敵な小説でした。

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