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    ホスピスへの見舞いと、母の変化

    ふと「1週間前=先週の月曜日は、母はまだ病院(一般病棟)に居たんだな」と思ったら、それが信じられないほど、色々とあった1週間でした。

    病院では、コロナのため面会は禁止でしたが、母とはほぼ毎日、電話で話をしていました。

    口が乾くこともあるのか、特に話し始めは、しゃべりにくそうにしていても、たいてい話しているうちに、段々と声が出てきて、言葉もはっきりしてきます。


    8月16日 – 転院前日

    転院前日、母からの電話で30分以上の長電話をし「明日(の転院)は、お世話になります。よろしくお願いします。」という母の言葉の後、電話を切りました。

    転院の日が決まったのは、8月8日。

    それ以降、母はホスピスへの転院を楽しみにしてくれていました。

    寝たきりで思うように身体を動かせないはずなのに「転院の準備しなくちゃ」と、転院が決まった日、1週間前、数日前と、日を置いて言うのです。その度に「まだ準備するのは早いよ。もうちょっと日が近くなってからでいいんじゃない」「看護師さんがやってくれるよ、お任せしちゃいな」などと返していましたが、まるで海外旅行に行く前のようにワクワクしてくれている母の態度に「転院を決めるまでたくさん迷ったけど、良かったな」と嬉しくなりました。


    8月17日 – 転院当日

    8月17日(水) ホスピスへの転院。

    (転院の日のことは、以前書いた通りです)

    8月18日 – 転院翌日

    ホスピスへ転院した日に母に言われた「明日も会いたいな」という言葉が耳に残り、翌日8月18日(木)、夫と2人で会いに行きました。

    母が入院したホスピスでは、コロナ第7波を受けての面会ルールは次の通りでした。

    ○ 面会は同居家族のみ(1度の面会で最大2人)

    ○ 原則、週(日〜土)に1回

    私たち家族の場合、入院時から週2回の面会が許可されました。

    この面会頻度は、医師が患者の様子を見て判断するそうで、今後「2日に1度」「毎日」という許可が出ることもあるそうです。

    週2回の面会をいつ行うかは、家族が決めることができますが、これがなかなか難しい。

    母は終末期であり、日ごとに状態は悪化していくことが予想されます。

    「少しでも母がしっかりしているうちに(会話を楽しめるうちに)」と思えば、早めに週2回の面会をしたいところですが、そうすると次の面会日まで、日が空いてしまいます。

    例えば、日曜日と月曜日に面会をすれば、次の面会は早くても翌週の日曜日。

    火曜日から土曜日まで5日間、母には会えず、その間母に淋しい思いをさせてしまいます。

    迷いましたが、転院した翌日にも、母を訪ねました。

    新しい環境に移ったばかりの母は、不安を感じているかもしれず、連日見舞った方が良いと思ったからです。

    病室を訪ねた時、母は眠っていました。

    「傾眠かな」と思い、軽く肩に触れたら、すぐに目を開けて、会えたことを喜んでくれました。

    母の表情は前日に比べると穏やかで、リラックスしている様子。

    これまで、お医者さんには言わなくても私には訴えていた「痛み」も「全くない」と言います。

    後で看護師さんに聞いたところ、リラックスするお薬を入れ、痛み止めも追加したとのこと。

    「一般病棟は、病気を治療するところ。緩和ケア病棟は苦痛を和らげるところ」と聞いていましたが、「専門の場所はやはり違う、餅は餅屋だな」と思いました。

    それほど、母の表情が柔らかくなっているように感じたのです。

    ちょうど母を見舞っている時に、夕食が運ばれてきました。

    在宅時のように母の食事をお手伝いしましたが、自分で浸けた梅干しと一緒に、白米を良く食べました。

    体力が落ちているからなのか、薬の副作用でまだ手がしびれるのか、見ていると箸を使うのは大変そうなのですが、スプーンは使わずに時間をかけてお箸を使い、自分でご飯を口に運んでいました。

    転院した日は、疲れたのでしょうか、昼食も夕食も食べられなかったそうです。

    「終末期には無理して食べなくて良い」と聞いているので、私も母に「無理しないでね」とは言ってきましたが、やせ細った母が食べている姿を見ると、やはり嬉しいものですね。

    母のリラックスした表情や、母が食事をしている姿を見ることができ「ホスピスに移れて良かったな」と、ホッとしました。前日(転院した日)同様、身体は疲れているものの、心地よい疲れの中、1日を終えました。

    8月21日 – 前回の面会から3日後

    父と2人、夕方に病室へ行くと、母は目を開けて天井の方を見ていました。

    父を見つけた時の、母の嬉しそうな顔 笑。

    でも、母の様子は、明らかに3日前とは違いました。

    前回までは、たまに遠くを見ているようなことがあっても、それは「たまに」でした。

    この日は、ほとんどずっと遠くを見ていて、話をしている時でも、なかなか目が合いません。

    目を合わせようと、こちらが姿勢を変えてみたりするのですが、目が合うのは「たまに」でした。

    口の中に痰が溜まり、足や手のむくみが増していました。

    グーグル先生(ネットで得た情報)によると、これは点滴が理由なのでしょうか。

    次回ホスピスに行ったら、聞いてみようと思っています。

    幸い、痛みのコントロールをしてもらっているためか、むくみによる痛みはないようです。

    この日も、面会中に夕食が運ばれてきたのですが、食べることはできませんでした。

    それでも、面会前にデパ地下で買っていった桃とメロンを病室でカットし、母と父、私の3人で一緒に食べました。(病室で一緒に飲食することは、許可されています)

    「一緒に何かを食べるのは、久しぶりだね」と言ったら、とっても嬉しそうな顔を見せてくれました。

    母が口にできたのは、ほんの少しですが、このタイミングでは「何をどれだけ食べたか」よりも、「一緒に食べた」ことが尊い経験だったように思います。

    母のリクエストで、父はずっと母の足をさすり、マッサージしていました。

    母が病気になる前も、闘病中も、父は良く母の脚をマッサージしていたので「今日、マッサージをしてあげられて良かった」と、父も嬉しそうでした。

    転院した日、母を診た医師に言われました。

    「週ごとに状態は変わっていくと思われます。」と。

    それを実感した日でした。

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