先日、ロンドンのカフェで初めて「unisex toilet(ユニセックス・トイレ)」と書かれたトイレを使用しました。
感想を先に言ってしまうと「落ち着かなかった」です。

そのトイレへの道のりは、次のようでした。
まず、ドアを開けてテーブルと椅子が並ぶカフェ空間を出る。
廊下を少し歩き、「ユニセックス・トイレ」と書かれたドアを開け、中へ入る。

(写真はイメージです)
ドアを開けた中には、2つの個室が並び、その前に手洗器と鏡のセットが2つ並んだ手洗い場所がありました。
トイレへ向かう廊下を歩いていた時、後ろから他の人が歩いてくる足音が聞こえました。「ユニセックス・トイレ」と書かれたドアを開け、私のすぐ後に入ってきたのは、男性でした。
日本では、「音姫」などの擬音装置を 公共施設や商業施設のトイレでほぼ見かけますよね。
イギリスでそれは珍しく、(どこかにはあるのかもしれませんが) 私は今まで見たことがありません。
女性用トイレで音をごまかせなくても、今ではなんとも思わなくなりましたが、隣の個室にいるのは見知らぬ男性。
そう思うと、どこか落ち着きませんでした。
早々に用を済ませて個室を出ると、お隣の個室のドアはまだ閉まったままでしたが、新しい男性が入ってきて私が出たばかりの個室へ。
軽くお化粧直しをしたかったのですが、なんとなく気持ちが落ち着かず、手を洗ってすぐにカフェへ戻りました。

実は私が使用する前に、夫がこのジェンダーレス・トイレを使っていました。
戻ってきて「なんか落ち着かなかった」と感想を述べると、夫も同じ感想。
夫の時は、女性1人と一緒になり、やはり落ち着かなかったそうです。

今回、ジェンダーレス・トイレを使ってみて「どうして落ち着かなかった」のか、考えてみました。
これまでもスタバのようなカフェなどで、何度も男女兼用のトイレを使っています。
(ここで言うカフェのトイレは「男女兼用」というよりユニバーサル・トイレで、収納式の赤ちゃんおむつ替え用の台があったりする、広々とした個室トイレです)
また飛行機内のトイレも、男女兼用です。
どちらも何の違和感もなく「落ち着かなかった」こともなく、使っていました。
それが、今回はどうして?

(↑写真は今回利用したジェンダーレス・トイレのイメージです)
今回利用したジェンダーレス・トイレは、「ジェンダーレス・トイレ」という部屋の中に、「個室トイレ」というブース(小さくし切った空間)がある造りだったから、だと思います。

(↑写真は「個室」タイプのトイレのイメージです)
一方でユニバーサル・トイレも、飛行機内のトイレも、「個室トイレ」という「ブース」ではなく「部屋」です。
だから「音」も気にならないし、たとえ飛行機内のような狭いトイレ空間でも、「落ち着かなさ」を感じることなく、さっと口をゆすいだり髪に櫛をいれたりすることができたのだと思います。
さて、ロンドンで初めてジェンダーレス・トイレを使用した翌日、ジェンダーレス・トイレに関する日本のニュース記事を読みました。
話題になっているようですね。
男女別に分けられたトイレでは利用に困る人たちがいるというのは、私にとってこれまで見えていなかった問題で、なるほどみんなで考えていかなければいけないと思わせられました。

一方で、下記の記事を興味深く読みました。
≫ イギリスが「トイレは男女別」を義務付けた理由 (東洋経済オンライン)
「生理や妊娠中など女性特有のニーズがある」などの理由で、イギリス政府は「女性専用のトイレの確保を重要視した。」という部分を読み、
自身の経験を振り返ってみて、生理中だったらもっと落ち着かなかったであろうことは、容易に想像できます。
極端な話ですが、もしもこの先、女性用トイレが無くなりジェンダーレス・トイレばかりになったら。。。と思うと、やっぱり嬉しくないかな。
男性用、女性用と分けてトイレを設置する場合は、ユニバーサルトイレも必ず作るようにすれば良さそうですが、設置する側としては、場所の確保や費用の問題などで、そう簡単ではなさそうですね。

ジェンダーレスは関係ありませんが、イギリス含め海外滞在時、外出先でトイレを利用する時は、携帯電話を持っていくようにしています。
もしもトイレの個室内やその付近で何かあった時、すぐに頼れる現地の知人(夫や家族など)に助けを求められるようにするためです。
もちろん、備え付けの緊急ブザーを使用したり、その場に居合わせた人が助けてくれたり、ということはあると思いますが、やはり何かの時に自分の知っている人に連絡できる手段があると安心です。
誰かと一緒の時は「ちょっとお手洗いに行ってくるね」と、つい携帯電話は持たずに歩き出してしまいがちなのですが。
ジェンダーレス・トイレは、この先日本でも増えていくのでしょうか。しばらく議論や模索が続きそうですね。