iPhoneを盗まれそうになった話と、盗まれた話。

先週末、夫のiPhoneが盗まれるところだった。という事件が起きました。

それは、夫が(彼の)妹の付き添いで、救急外来に行った時のことです。

(幸い、妹は何事もなく、検査などをしてその日のうちに帰宅できました。)

救急外来はいつもの通り、ものすごい混雑。待ち時間もそれなりに長く、夫は妹と待合室のベンチに座って雑談をしながら、順番を待っていました。

途中、トイレに行って戻ってきた夫。

また妹と雑談を開始し、少ししてふと気がつくと、自分のすぐ横に置いておいたiPhoneがない。。。

「トイレに置いてきたのかも」と思い、確認しに行くも、トイレにiPhoneは見当たりません。

忘れ物の届けはなかったか確認するために、受付に行くと何やら騒がしい。複数の人が受付に集まり、眉根を寄せて話し合っています。

受付スタッフに話しかけようと近づいてみたら、スタッフの手には、夫のiPhoneが握られていました。

夫「それ、僕の携帯です。」

受付「どうしてこれがあなたのだと言えるんですか?証明してください」

iPhoneケースの中に入っているカードの種類、携帯番号などを伝え、iPhoneは確かに夫のものだと確認がとれた後で、返却してもらえました。

さて、なにが起こったのでしょうか。

夫のiPhoneが盗まれた手口

夫は妹と雑談をしているとき、下の写真(右奥)のように、空いていた隣のイスにiPhoneを置いていました。

私はその場にいませんでしたが、夫の話からするとたぶんこんな感じだったのだと思います。

それを同じ待合室にいた誰かが盗み、待合室内のゴミ箱に入れたのです。

iPhoneをゴミ箱に入れる様子を見ていた人がいました。

「携帯をゴミ箱に捨てるのはおかしい」と受付に報告してくれたのです。ちなみに、夫のiPhoneをゴミ箱に入れたのは、若い男性だったそう。

ここで「なぜ盗んだばかりのものをゴミ箱に入れるの?」と不思議に思いませんか?

私は不思議だったのですが、ここは監視カメラ大国のイギリス。監視カメラは街中いたるところにあり、もちろん病院待合室のカメラも休まずしっかりニラミを効かせています。盗んだiPhoneは一度ゴミ箱に「保管」しておき、少し時間を置いてから「回収」するのだそう。監視カメラ対策なのだとか。

一度盗まれたとは言え、ラッキーにも誰かの悪だくみを見ていてくれた人がいて、iPhoneが無事に夫のもとに戻ってきたので良かったです。

そして思い出したのが、2017年のiPhone盗難事件。この時は私のiPhoneが盗まれ、それは戻ってくることはありませんでした。

私のiPhoneが盗まれた手口

ある日曜日の午後、よく行くカフェで夫とお茶をしていました。

夫が追加のコーヒーを買うために席を立ち、私はそのまま席に残っていたところ、2人の若い女性がテーブルへ近づいてきました。

地図を広げたところのイメージ。実際はテーブルがすっぽり隠れるほどの大きな地図でした。

2人のうち1人がすぐに大きな地下鉄の地図を私の目の前に広げ、私に何か話し始めました。

路線図のいくつかの駅を指し示していたので「どこかへの行き方を知りたいんだろうな」ということはわかりました。しかし彼女が話しているのは英語ではなく、どこかの国の言葉。

私が英語で「ごめんなさい、あなたの話す言葉が理解できない」と伝えると、2人は肩をすくめ「わからないの?じゃあしょうがないわ」と言わんばかりの表情を浮かべて、立ち去っていきました。

彼女たちがカフェを出てすぐ、夫が戻ってきました。

「今、2人の若い女性に話しかけられてね。でも言葉がわからなくて。○○系の言葉だったと思うけど」と夫に報告しながら、ふとテーブルの上を見ると…

「あれ?携帯は??? 私の携帯がない!」

やられました。

iPhoneはまさにこんな感じの位置で、コーヒーカップなどと一緒にテーブルの上に置いていてました。

1人が大きな地図を広げてiPhoneを私の視界から消し、私に話しかけて注意をひいている間、もう1人がテーブルの上にあった私のiPhoneをカバンかポケットに入れたのでしょう。

彼女たちが私の目の前にいたのは恐らく1分未満。どんなに長く見積もっても2~3分ということはありません。早わざ、プロフェッショナルの仕事でした。

携帯を盗まれたことに気がつき、夫がすぐに若い女性2人を見つけるため、走ってカフェを出ていきましたが、少しして「見当たらない」と戻ってきました。

でも、この時夫は2人を見つけられなくて正解だったのです。

後で警察で聞いたところ、彼女たちは女性2人だけで動いているのではなく、グループで動いており、彼女たちの裏には凶暴な男たちがいることが多いそう。

もしもあの時、夫が女性2人を見つけて問い詰め、それを隠れて見守っている男たちに見つかっていたら…

「ボコボコにされていたかもしれませんよ。見つけられなくてラッキーでしたね」と警察官に言われました。

夫が戻ってきてすぐ、私たちは近くの警察へ行きました。

盗難にあったことや犯人の特徴を告げると、女性警察官はため息をひとつ吐いて「あなたで3人目よ」と言われました。

3人の被害者のうち1人は高齢のおばあさん。近くの教会で行われていたバザーで、お財布の入ったバッグごと盗まれてしまったそうです。

警察の話では、あるヨーロッパの地域(ここでは具体的に言いませんが)から、グループで「出稼ぎ」にやってくるケースが増えているとのことでした。1つのエリアで短時間に集中的に「仕事」をし、数時間後には別のエリア。そして「仕事」を終えると急いでイギリスから出国し、自分の国へ帰るのだとか。

盗難届けは出しましたが、結局iPhoneは戻ってきませんでした。当時最新モデルだったiPhone8は、手に入れてたったの1週間で私の元を去ってしまったのです。

でも、ラッキーなことにiPhoneに保険をかけていたため、その日のうちに警察への盗難届と共に手続きをし、翌日には新品のiPhone8が自宅に配達されました。

真新しいiPhoneを失ったことよりも、ショックだったこと

iPhoneは高価なものだし、毎日使っている大事なものなので、それが盗まれたことへの悲しさもありました。(盗まれた直後数時間は、保険をかけていることを忘れていたということもあります)

でもそれ以上に大きかったのが「盗まれた」という事実そのもの、それまではネット記事などで見る誰かの出来事だった「盗難事件」が自分に起こってしまったこと。これは結構ショックでした。

それともうひとつ、ショックというか、切なかったこと。

この事件のことを周囲に話した当時、責められてしまったことです。「そんなところに携帯を置いておくからいけない」「私ならテーブルの上に置いたりしない。必ずポケットかバッグに入れておく」「注意が足りない」などなど。

確かに、みんなの言う通り。

ここは日本じゃない。席を確保しておくために、携帯やお財布をテーブルの上に置いて、トイレに行ったりできる国ではありません。もっと注意深くあるべきだった。

でも、、、。そんなことは盗まれてしまった本人が、盗難にあって間もない本人が、1番身に染みてわかってる。「なんであの時」って、何度も思って反省してる。

当時、2人だけ私を責めないでいてくれた人がいました。それは、担当してくれた警察官と夫。

女性警察官は「これはあなたのせいじゃない。悪いのは犯人よ。彼らはプロだから。どんなに気をつけていたって、やられちゃうの。だから絶対に自分を責めないで。悪いのはあなたじゃない。」と言ってくれました。

夫も同じようなことを言ってくれ、「たかが携帯電話、大したことないよ。アンラッキー(不運)だったね」となぐさめてくれました。

もしも私にこの「盗難事件」が起こっていなかったら…。それに対する周囲の反応を経験していなかったら…

私は、先週末iPhoneを盗まれそうになった夫に「ここは日本でもドバイでもないんだから、もっと気をつけないと」「隣の席になんて置いておくから」などと、言ってしまっていたと思います。

でも、盗難事件の経験があったからこそ、「もっと気をつけるべきだった」と言う夫に、「うん。でも悪いのはあなたじゃない。盗もうとした人だよ。」と言うことができました。

「何事も経験」とは、本当にその通り。嫌な経験はできればしたくありませんが、そこから何を学べるか、ですね。

ともあれ、みなさまは私のように携帯電話を盗まれぬよう、お気をつけください。

2 コメント

  1. 仔馬さん
    なかなかリアルで怖いお話ですねえ。
    日本はその点まだまだ安心??と思いきや強盗殺人事件が多数起こるなどなかなか物騒になってきております。今日、その首謀者と言われる人間がフィリンピンから日本に送還されてくるはず。
    刑事ドラマなんかで良くあるけど、フィリピンはお金さえ出せば何でもできるらしい。
    そういうこともあり、夜寝るときなどのロックなどは今までにまして何度も確認しています。

    仔馬さんのこの間の私のコメントに対する返信でクスっと笑ってしまいました。
    もしかして本当に内の娘だったんじゃないかって(笑)
    と言うのも、内の娘は私に似て小柄で海外の人から見たら子供??に良く間違えられるようなんで。
    世間は広いようで狭い。そんな風に思っています。
     
    香港は意外に?治安が良くそういった所が、娘は気に入ってるらしいです。
    湿度は高く今でも結構薄着みたいです。
    確かにヨーロッパって湿度が高くなさそうですね。
    時折洋書の編み物の本を立ち読みしますが、夏の作品など日本では(特に大阪なんかでは)
    とても着れそうにない作品が多いように思いますもの。
    大阪はTシャツが一番です。編み物の作品はちょっと着れそうにありません。(笑)

    • 物騒な事件が起こったようですね、ちらっとネットで見ました。どこにでも悪いことを考える人はいるので、お互い気をつけなければいけませんね。

      「湿度が高いと不快」とはよく言いますが、私は湿度高めが好きです。東南アジアの空港に降り立った時の、あのムワッとした湿度感が、恋しいです。

      夏のTシャツは快適ですよね。汗をかいても洗濯が簡単ですし。あとは真夏の長袖リネンシャツも好きです。

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