坂本龍一さんがお亡くなりになりましたね。
イギリスの国営放送BBCでも報道されていました。
彼が患っていた直腸ガンという病気や診断された時期などが、昨年秋に亡くなった私の母のそれと同じだったこともあり、母の介護をしていた頃から坂本さんのニュースは特に気にしていました。
デビッドボウイのファンである(イギリス人の)夫は、映画『Merry Christmas, Mr. Lawrence (戦場のメリークリスマス)』 を通じて、坂本さんの演技や音楽に触れていました。
4月2日(英国時間)のニュースでご逝去を知り、2人でキャンドルを灯してご冥福をお祈りしました。

悲しいニュースを受けたからか、昨夜は良く眠れず。
やっと眠れたと思ったら、夢に母が出てくる。
そして強く胸を締め付けられるような感覚で目を覚ます。
それを何度も繰り返して、朝を迎えました。
母を失ってから数ヶ月続いていた苦しみは、最近はずいぶんと落ち着いてきていたのですが。。。

この数日間で、いくつかの訃報が届きました。
人間がいつかその命を終える確率は100%なのに、平和な日々が続くと、ついそのことを忘れてしまいます。
でも、いつもそのことが頭にあると「生きていること」を楽しめなさそうですし、普段は忘れていて、たまに思い出すくらいがちょうど良いのかもしれません。
この数日間は、あらためて色々と考えさせられた、ちょっと重めでディープな日々でした。

医師であった日野原重明先生の言葉をご紹介します。
昨年末に、母の学生時代の友人がシェアしてくれたものです。
「死ぬということは、多くの人にとって、まるでとかげのしっぽがきれるように終わるものだと考えられていますが、たくさんの死をみとってきて感じるのは、終わりではなく新しい何かが始まるという感覚です。
『一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば多くの実を結ぶ』。これは、聖書の中でも僕の好きな『ヨハネによる福音書』の一節です。
麦が死ぬというと、何かさびしいような気がするかもしれません。でもそうではなく、麦が地面に落ちれば、翌年にまた多くの実を結ぶことになる。つまり、一粒の麦は死ななければいけない、死ぬことによって、無数の麦の誕生につながるという希望を示しているのです。
僕は麦をはじめ、たくさんの親しい人を亡くしましたが、亡くなったあとの方が、むしろ生きていたときよりも、その人の姿が僕の中で鮮やかになっていくのを感じます。
そして彼らがかけてくれた言葉の意味が、死んだ後に、心の中でより深まっていくということを経験してきました。」
(以上『生きていくあなたへ』より)