好きな作家の1人が村上龍氏です。19歳の時に初めて彼のエッセイを読んでからファンになり、20代前半の頃には随分読みました。小説よりもエッセイが好きで、エッセイを通して触れた彼の考え方などに、多少なりとも影響を受けていると思います。
『怒ってごまかす人 『どこにでもある場所とどこにもいない私』』
だいぶ長い間、村上龍作品から遠ざかっていたのですが、久しぶりに読んでみました。たまたま本屋さんで目に留まった1冊で『どこにでもある場所とどこにもいない私』です。
「留学情報誌」のために書かれた作品
空港ロビー、居酒屋、コンビニ、公園、駅の自動改札…。日常の一瞬に、ふと去来する心の揺らぎ、意識の流れを描く、8篇の本格短篇を収録する。(引用元)
元々留学情報誌のために書かれた作品で、“ 雑誌の性格上、留学のために海外に出て行く人物を主人公にした ”」(本書あとがきより)とのこと。
留学経験があったり海外へ度々行くことのある人は、作品のどこかで共感を覚える場面があると思います。
「何が問題なのかわかっていないから、怒ってごまかす」
読書感想文は昔から苦手なので書きません(書けません)が、本書の中で心に留まった文をご紹介します。
何が問題なのかわかっていないから、怒ってごまかすだけなんだよね。原因がわかっていないと、ものごとは絶対に解決できないんだ。
引用元
そういうことって確かにある。
例えば自分の思ったとおりにはいかないことが起きた時、「それがどうしてうまく行かないのか」冷静になって考えれば、わかるかもしれない。
その瞬間は原因が分からなくても、「今この時」を「どうふるまって、どうやり過ごせば良いか」は、自分なりに納得のできる答えを出せることが多いです。(私の場合)
でも、「冷静になって考える」ということを怠ると、原因がわからないという状態が不安になり、それが怒りに変わってしまうということ、ある気がします。
怒りというとちょっと強いけれど、イライラとかね。
「歳を重ねると人間丸くなる」とは良く言いますが、わたしも段々この「一息着いて冷静になる」ということが、だいぶ自然にできるようになってきていると感じます。
でも時々、ついついカッとしてしまうことも。たいていが、不要な怒りだったりするのですが。
穏やかに日々を過ごしたいですね。